機械の修理・構造

ACモーターのベアリング交換方法を説明するよ 続き

ACモーターのベアリング交換

みなさん、こんにちは。

masoumaouです。

前回の続きで、ACモーターのベアリング交換手順を説明いたします。

ACモーターのベアリング交換方法

ACモーターからプーリーを外す

ACモーターのベアリング交換

ACモーターのベアリングを交換するには、モーターを分解する必要があります。

基本的にモーターは、軸の前後をベアリングで支えて回転させているので、ベアリングは2個使用されています。

(ギアモーターなどの場合はギアボックス内に複数のベアリングが使用されています。)

そのため、ベアリングを交換するには、コイルが固定されているモーターケースとベアリングがはまっているケースを外す必要があります。

そこで分解を進めるために、プーリーを外します。

(軸が出ていない側のベアリング交換は、比較的簡単です。)

ACモーターのベアリング交換プーリー抜き

プーリーを外すのに、プーリー抜きを使います。

様々なサイズがあります。

また、爪の数も2本や3本のモノなどがあります。

軽くて扱いやすいのは、2本タイプのプーリー抜きです。

しかし、抜くモノに均等に力を伝える必要がある場合は、3本爪を使用します。

ACモーターのベアリング交換でプーリー抜きの使い方

今回は作業しやすい環境だったので、3本爪のプーリー抜きを使います。

ACモーターのベアリング交換方法

プーリーとキーを固定している押しボルトは、必ず外して下さい。

忘れると、プーリー抜きで引き抜いた時に、プーリーが欠けます。

ACモーターのベアリング交換でプーリー抜きの使い方

プーリー抜きの軸をモーター軸の中心に合わせます。

しっかりと軸の中心とプーリー抜きの中心が合っていないと、力を加えた際に、プーリー抜きが外れてしまいます。

ACモーターのベアリング交換でプーリー抜きの使い方

プーリー抜きの爪をプーリーに引っ掛けます。

プーリー抜きの3本の爪をしっかりとプーリーの下側の縁に引っ掛けます。

プーリーを外す場合には、爪をプーリーのVベルトがかかる位置に引っ掛けないで下さい。

力を加えると欠ける場合があります。

ACモーターのベアリング交換でプーリー抜きの使い方

プーリーに爪を引っ掛け、軸の中心と中心を合わせたら、力を加えていきます。

プーリー抜きの軸を右に回すと、軸が伸びて、爪が引き戻される動作になり、プーリーを抜きます。

軸の頭をメガネレンチやスパナ、モンキーレンチで回しますが、最初はメガネレンチで作業する事をおススメします。

私は時間短縮のため、17の板ラチェで3本爪のプーリー抜きを操作しました。

ACモーターのベアリング交換でプーリー抜きの使い方

モーターは負荷がかかっていないと、軸が自由に回転してしまうので、プーリー抜きの軸を回転させても、クルクルと回転してしまい抜けません。

そこで、回転しないように爪にドライバーを挟み込み、プーリーが回転しないように固定します。

これにより、軸の部分だけ、押し込めるようになります。

ACモーターのベアリング交換でプーリー抜きの使い方

どんどん、プーリー抜きを回し続けると、プーリーを引き抜く事が出来ます。

ACモーターのベアリング交換でプーリー抜きの使い方

プーリーを抜いた際には、プーリーにマーキングをします。

プーリーは反対面でも組み付ける事が出来るので、間違え防止です。

プーリーを反対に組み付けると、Vベルトの芯が出なかったり、ケースに干渉して取り付け出来なかったりするので、注意が必要です。

ACモーターのベアリング交換でプーリー抜きの使い方

プーリーを軸から外しても、ケースは分解出来ない事が多いです。

軸に刺さっているキーが、ケースの穴に干渉して抜けないのです。

そこで、キーを外すのが一般的です。

ACモーターのベアリング交換でプーリー抜きの使い方

キーを外すには、キーの引っかかりにマイナスドライバーを当てて、ハンマーで一気に叩きます。

ACモーターのベアリング交換でプーリー抜きの使い方

軸とキーの隙間が出来れば、あとは簡単に外せます。

ACモーターのベアリング交換でプーリー抜きの使い方

プーリーを外せたので、モーター側の分解に進めます。

ACモーターのベアリング交換方法

ACモーターのベアリング交換

忘れていましたが、ベアリングが破損している場合は、モーターの軸が回転出来ません。

軸を手で持って回転させられない場合は、ベアリングの破損が考えられます。

(軸は細いので、プーリーやギアが付いた状態の方が、手で回しやすいです。)

今回のモーターは回転に違和感がありませんでしたが、分解を続けます。

ACモーターのベアリング交換

分解の前に、モーターにマーカーをします。

モーターは分解すると前後どちらにも組めてしまうので、必ずマーカーをして下さい。

逆に組むと、端子ボックスの位置が変わるため、「既存の配線が届かない」などの問題が生じます。

ACモーターのベアリング交換

プーリー側についていたカバーを外します。

6mmのネジのため、力は必要ありません。

ネジの直径が6mmのため、頭である工具で回す部分は8mmの工具を使用します。

ACモーターのベアリング交換

ケースが外せました。

内部は砂埃の付着が多いです。

ACモーターのベアリング交換

ケースを外すと冷却羽が出てきました。

この羽で、モーターの動作中に発生する熱を冷やします。

多くのモーターの冷却羽は、プーリーが付く側ではなく、反対側に付いています。

ACモーターのベアリング交換

冷却羽にも押しボルトがあるので、外します。

その際、板ラチェでは、冷却羽に干渉してしまい、押しボルトを回す事が出来ませんでした。

ACモーターのベアリング交換

板ラチェはギアが組み込まれているため、メガネレンチと比べて厚みや幅があります。

作業効率は板ラチェは高いですが、操作出来ない場所もあるので、メガネレンチは必ず揃えたい工具の一つです。

ACモーターのベアリング交換

冷却羽から押しボルトを外したら、汚れを落し、油をさします。

ACモーターのベアリング交換

冷却羽もプーリー抜きで引き抜きます。

ACモーターのベアリング交換

冷却羽は柔らかい素材のため、羽の先に爪を欠けると簡単に、曲がってしまいます。

ACモーターのベアリング交換

そこで、爪は冷却羽の根元に引っかけます。

ACモーターのベアリング交換

冷却羽など3本爪のプーリー抜きだと、1本の爪が冷却羽に干渉してしまう場合があります。

その場合は、2本爪のプーリー抜きなら干渉しません。

ACモーターのベアリング交換

プーリー抜きで冷却羽を外しました。

ACモーターのベアリング交換

モーターの軸が剥き出しになったので、次の作業に移ります。

次はモーターケースとベアリングのケースを外します。

よく見るとケースに線が見えると思います。

この部分が合わせ目のため、この部分を外します。

ACモーターのベアリング交換

横から見ると、ケースを固定しているボルトがあるので、全て外します。

ACモーターのベアリング交換

見えにくい場所にもボルトがありますので、注意が必要です。

ACモーターのベアリング交換

外したボルトも前後で形や長さが異なる場合があるので、最初に確認しておく必要があります。

ACモーターのベアリング交換

ボルトを全て外したら、ケースを叩いて外します。

力を入れすぎるとケースが欠けるので注意が必要です。

棒を当てながら、全ての面を均等に叩き出すようにすると外れます。

ACモーターのベアリング交換

隙間が出来たら、マイナスドライバーなどでこじりながら、隙間を広げていきます。

ACモーターのベアリング交換

ベアリングケースが外れました。

この外れたケースの内部にベアリングがはまります。

ACモーターのベアリング交換

ベアリングが破損した状態でモーターが回転を続けた場合、このケースを破損している場合があります。

その場合は、ベアリングが固定出来ないため、ケースを部品で交換しないといけません。

ACモーターのベアリング交換

ベアリングケースが外れると、内部が確認出来ます。

ACモーターのベアリング交換

そのまま、反対側も分解します。

先ほどと同じように、ネジを全て外してからケースを外します。

ACモーターのベアリング交換

このACモーターはブラシが使用されているタイプなので、ブラシを取り外します。

+ネジを2本外すと、ケースごと外れました。

ACモーターのベアリング交換

矢印のマイナスネジを外すと、中からブラシが出て来ます。

日立のマーク入りのブラシが出てきました。

ACモーターのベアリング交換

ブラシやネジが外せたら、分解を進めます。

ACモーターのベアリング交換

あまりやってはいけませんが、軸を叩くとケースが押し出されて外せます。

軸を叩くと、軸の先が潰れたり、モーター内を傷つけたりするので、注意して下さい。

ACモーターのベアリング交換

ケースが外れました。

ACモーターのベアリング交換

回転子ごとがケースに付いた状態で外れます。

ACモーターのベアリング交換

回転子を手で押さえた状態で、ケースを軽く叩くと、ケースのみ外せます。

プーリー側と同様に内部に、ベアリングがはまる用になっています。

ACモーターのベアリング交換

回転子とブラシはこのように付いていて、ブラシから回転子に電気が通る仕組みになっています。

ACモーターのベアリング交換

回転子だけになったので、ようやくベアリングが交換出来ます。

ACモーターのベアリング交換

ベアリングを抜くには、ベアリング抜きを使います。

ACモーターのベアリング交換

使い方としては、ベアリング抜きと同じです。

そのため、プーリー抜きでもベアリングは外せます。

しかし、ベアリングを抜くにはベアリング抜きを使って下さい。

ACモーターのベアリング交換

ベアリングにベアリング抜きを引っ掛けて、ボルトを回転させて引き抜きます。

ACモーターのベアリング交換

ベアリングが外せました。

ACモーターのベアリング交換

ベアリング抜きは、爪が薄かったり、爪の固定が強固だったりとプーリー抜きとは異なります。

特に異なるのが、ベアリングを外すときの爪の位置です。

ベアリング抜きは、爪の先がベアリングの外側にかかっているのがわかります。

ACモーターのベアリング交換

しかし、プールー抜きでベアリングを抜こうとすると、爪の先がベアリングのシール部にくるのです。

このシールの内側には、ベアリングで重要なボールが入っています。

外すときに力を入れると、このボールも押してしまい、ベアリングを破損してしまいます。

外したベアリングを必ず新品に換えるなら問題ありませんが、ベアリングの再利用を考えているのなら、必ずベアリング抜きを使用します。

あとは、2個のベアリングを新品に交換して、モーターを組み直せば完成です。

ACモーターのベアリング交換

ちなみに、モーターには使用されているベアリングがラベルされています。

そのため、分解の前にあらかじめベアリングを準備してから作業して下さい。

ラベルには「6205」と「6204」の表記が確認出来ます。

ACモーターのベアリング交換

実際にプーリー側のベアリングは「6205」。

ACモーターのベアリング交換

反対側のベアリングは「6204」でした。

そのため、ベアリングのシール部が破損していても、新品のベアリングが準備出来ます。

あとは、元通りに組み直します。

軸は錆びている場合が多いので、プーリーを外したときに研磨しておくと、プーリーが入れやすくなります。

ACモーターのベアリング交換

軸は削りすぎも良くないので、紙やすりで研磨します。

番手は1000~2000で十分です。

ACモーターのベアリング交換

耐水の紙やすりを使用すると、軸に油を垂らしながら研磨出来るでおススメです。

ACモーターのベアリング交換

油を使用する事でしっかりと錆を落すことが出来ます。

ACモーターのベアリング交換

軸は綺麗になりました。

ACモーターのベアリング交換

最初同様に、冷却羽の向きを元通りに入れ、押しボルトで固定します。

ACモーターのベアリング交換

プーリーを入れて、キーを打ち込みます。

プーリーは元の位置まではめ込みます。

ACモーターのベアリング交換

押し込みすぎたら、プーリー抜きで引けば、元の位置まで戻せます。

ACモーターのベアリング交換

最後にプーリーの押しボルトを忘れずに締めこめば完成です。

ACモーターのベアリング交換

モーター内部をいじったので、外見からは違いはわかりません。

最後に手でプーリーを回して、違和感無く回れば完成です。

違和感があると、もう一度分解する必要があります。

使用した特別工具


プーリー抜きやベアリング抜きは、便利な工具なので、機械をいじる方は持っていると役立つかもしれません。

ベアリングは様々な種類があり、使用環境や目的により選定します。

ベアリングの勉強になります。

終わり

いかがだったでしょうか。

ざっとACモーターのベアリング交換方法を説明いたしました。

種類が違うと多少構造は異なりますが、基本的な点は同じなので、どんなACモーターにも参考になると思います。