『鷲と鷹』宮崎学

今なら絶対に許されない、猛禽の名写真集

「それまでの私の猛禽観は、とにかく傲慢で力だけを前面に押しだしてくる非情な鳥だということであった。ところが、このタカを見るかぎり、そのようなところはみじんも感じられなかった。タカというのは、実に優しい鳥なのだ…ということに気が付いた私は、いっぺんに彼等に心を奪われてしまった。そして、少しでも多く彼等を知ってやろうと心に決めたのである。」

巻末で宮崎学が書いている解説の一部です。

本写真集は、ハチクマという珍しい猛禽類の巣を発見したときの印象と、ワシ・タカの撮影を始めるきっかけについて語られており、日本で繁殖する16種のワシ・タカ、付録のオオワシを15年の歳月をかけて撮影されています。

写真は、大空や山を背景に飛翔する雄大なシーン・岸壁や森林に営巣し、ヒナを育てる様子、フレームに顔がいっぱいに写るほどのアップなど。バラエティーに富んだ写真が楽しめます。オオワシ以外は全ての種の営巣場面が収録されおり、日本で初めてカンムリワシの営巣の発見する快挙も成し遂げている。北海道から沖縄まで広い地域で撮影されているので、日本の自然の多様性も楽しむことができます。

野鳥好きの丸山健二(芥川賞作家)の序文後、写真集は三部構成になっています。

「草原・山に棲む」では、イヌワシ、クマタカ、ノスリ、チョウゲンボウ、チュウヒ。

「森林に棲む」では、オオタカ、ハイタカ、ツミ、サシバ、ハチクマ、チゴハヤブサ、カンムリワシ。

「水辺に棲む」では、ミサゴ、ハヤブサ、トビ、オオワシ、オジロワシが取り上げられています。

見ごたえのある写真の解説も素晴らしく、観察より得られた体験談は宮崎にしか語れない。

『鷲と鷹』