野生動物撮影を考えている、あなたへ
「野生動物撮影に興味があるけど、どんなレンズを使っているの?」
こんな疑問に答えます。
この記事を書いている私は、野生動物撮影10年以上。休日は野生動物を追い求めて、野山を駆けずり回っています。詳細はプロフィールへ
目次
野生動物撮影には望遠レンズが必須
あなたは野生動物に出会った事はありますか?
野生動物撮影に挑戦したことがある方なら気づいていると思いますが、日本の野生動物は近寄れません。
SNSの普及により、素晴らしい野生動物写真を簡単に見られる時代になりました。そういった野生動物写真に憧れて、「野生動物写真へ足を踏み込もう」と決めた方は少なくないはずです。
そんな方に注意してもらいたいのが、野生動物との距離という問題。この問題を解決するために野生動物撮影では、望遠レンズが必須なのです。
野生動物との距離は縮まらない
野生動物との距離を体験するには、実際に野外で野生動物に出会うのが、早くて正確です。方法は簡単、撮影を考えているフィールドに行くだけです。まだ望遠レンズを持っていなくても大丈夫。まずは家から出て、実際の自然を体験することが重要です。
そこで、野生動物と出くわせばラッキーデー。出会えなくても、それが普通なので気にしてはいけません。そもそも、野生動物に出会う事自体が、稀な事なのです。それでも諦めず何度もフィールドに通うと、野生動物の気持ちが少しわかるようになります。自然を読めるようになるのです。
以前は気づかなかった、野生動物の匂いや音。足跡などの痕跡が読めるようになると、今まで気づかなかった野生動物の存在に気づけます。そこでようやく、野生動物の姿を見るのが困難と気づくことになります。
野生動物を闇雲に追い回しても、姿は見られません。ヒトを避ける野生動物は、あなたが気づくよりも先に、あなたを感じとるからです。ヒトの歩く音、匂い、微かに見える姿。これらを野生動物は敏感に察知し、逃げ出します。
野生動物撮影では、野生動物がヒトを認識するまでの距離を望遠レンズで補うのです。
複雑な姿を見せる自然
自然は365日、毎日違う表情であなたを待っています。いつも晴れているわけではありません。突然の雨や風、霧の日だってあります。暑い日や寒い日もあります。そんな環境に暮らしているのが、野生動物です。
野生動物を追い求めて、藪の中を分け入ることもあるでしょう。川の中を進む必要もあるかもしれません。汚れを気にしていては、野生動物は撮影出来ないのです。
それでも気になってしまうのが、機材の故障です。特に望遠レンズは非常に高価です。やっとの思いで手に入れた大切な機材。壊したくはありません。しかし、野生動物撮影で望遠レンズを扱う環境は過酷です。汚れ・傷は当たり前。枝や岩にレンズをぶつけるなんて日常茶飯事です。傷つく多さから、野外に持ち出すのを躊躇したくなりまが、野生動物撮影では避けられません。だからこそ、野生動物撮影用のレンズには、強固なタイプを選ぶ必要があります。
SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Sportsを選ぶ
野生動物撮影用のレンズとして、SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Sportsを買いました。購入から1年以上たったので、購入経緯と野生動物撮影で使った感想をお話しします。
ボーグの不満
SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM sportsを購入する前は、ボーグの望遠レンズをメインに野生動物撮影をしていました。
ボーグはタカラトミーグループの、㈱トミーテックが1991年より製造販売しています。望遠鏡をベースとした多数のレンズがラインナップがされており、価格と描写力から、野鳥撮影で人気になっています。
私も価格と描写力に惹かれて、400mmの望遠レンズを購入し、野外で使い続けていました。しかし、独特なピント調整・オプションの絞り機構・軽いが長い全長。これらのカメラレンズとは異なる操作性に馴染めませんでした。貴重な野生動物との出会いを機材の扱いにくさで無駄にはしたくなく、新しい望遠レンズの購入を決めました。
過酷な環境
野生動物撮影では、望遠レンズをケースに入れていることは稀です。常にレンズがむき出しで、撮影のチャンスを逃さないように携帯しています。となると、必ず岩や枝にぶつけて外装に傷がつくのですが、外装の損傷よりも、私が気にしたのはレンズ内部に侵入する砂埃です。
崖や藪を歩けば、必ず微細なゴミが周囲を漂います。野外ではそのゴミがレンズ内部に侵入しやすいのです。ズームレンズは機構上、ズーム時に周囲の空気をレンズ内部に吸い込みます。この吸い込みで、微細な砂埃やゴミがレンズ内部に入り込んでしまうのです。このゴミは描写にはさほど影響はありませんが、過酷な環境で使い以上、この問題はできる限り避けたいと考えていました。
この問題を解決するには、ズーム機構のない単焦点レンズか、ゴミの混入を防ぐ対策のされているズームレンズを選ぶ必要があります。
単焦点レンズは抜群の描写力で、文句のつけようのないレンズですが、望遠レンズの単焦点は、とても高価です。レンズ1本50万なんて安いほう。私が憧れているレンズなんて、100万です。
流石にそんな予算は私にはなく、頑張っても20万ほど。この予算では、ズームレンズから選ぶしかありません。そこで、ゴミを防ぐシーリングが各部に施されたSIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Sportsを候補に考えました。
AF性能
ボーグのレンズは基本的にAFは使えません。普段からMFで撮影していたので、AFが使えない望遠レンズでも問題ありませんでしたが、距離の離れた野生動物を撮影する時はAFが使えないと不便でした。急な野生動物との出会いでは、MFでは時間がかかるのです。特に、野鳥は動きが素早く、前後左右自由に動き回ります。この動きにはMFで対応するのは難しく、優秀なAFが必要と感じました。
私の撮影スタイルでは、AFで大雑把にピントを合わせたら、MFで微調整といった撮影もしています。そこで、AFから素早くMFでピントを追い込める機構を新しいレンズには求める事にしました。
焦点距離は600mm
ボーグでは35mm換算で400mmの焦点距離のレンズを使っていました。400mmにテレコン1.7倍を組み合わせると、680mmになります。さらに、撮影状況に合わせて、APS-Cのボディを組み合わせます。すると1,000mmの撮影が出来るのです。
焦点距離は、ただ長ければいいわけではありません。長くなるにつれて、ブレが目立つようになります。このブレは三脚を用いても消す事は難しく、複雑な環境下の野外では特に大変です。足場を選ぶ必要もありますし、ブレを抑える丈夫な三脚や雲台も必要となります。
1,000mmを超えるレンズを野外で使い感じたのが、600mmの扱いやすさです。レンズの取り回しの良さ、野生動物との距離、必要となる機材、撮影までのアプローチ方法、被写体と背景のバランス。これらが、600mmが1番バランスが良かったです。
価格
これは私の財布の中身の問題です。出せる金額が20万ぐらいなので、その価格帯でレンズを選びました。野鳥撮影をメインに考えているなら、後々後悔をしないように、100万の単焦点を購入するのをおススメします。
安いレンズを何度も購入するよりも、1回で最高のレンズを購入した方が、安上がりです。そして、レンズに悩む時間や、機材に慣れる時間を失わなくて済みます。時は金なり。時間は大切です。
レビュー
新レンズの候補として考えたのが、以下の3機種です。
最終的には
この2機種で悩み続けましたが、堅牢さに惹かれて
を購入しました。
操作性
SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Sportsは堅牢なため、重いです。覚悟はしていましたが、三脚やカメラボディを含めると撮影時の重量は中々のもの。体力が必要ですが、野外でも安心出来る作りに満足しています。
大きく重たいので、レンズの取り回しは悪く、急な近距離撮影には向きません。これは明るい単焦点レンズでも同じことなので、撮影を割り切るしかありません。
描写
問題ありません。「望遠ズームレンズは描写が甘い。」と耳にすることもありますが、それは撮影状況が悪い場合がほとんどです。光の状態や空気中の水分量が望遠レンズになると影響をします。これは、撮影の腕を上げるしかありません。
まとめ
野生動物撮影では、望遠レンズを過酷な環境で使わざるを得ないので、SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Sportsの堅牢な作りに大満足です。質感も良く、触れていて気持ちがワクワクします。
描写や手振れ補正・AF性能も問題ありません。F値が少し暗いですが、価格と焦点距離を考えれば仕方のないこと。
今のカメラボディは高感度耐性が大変優れているので、絞り1段分の暗さなら、ボディの感度を上げる事で対応出来ます。
野生動物撮影用に初めての望遠レンズを考えているなら、SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Sports おすすめです。
SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Sports
スペック紹介
SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Sports希望小売価格(税別):259,000円
ケース、フード、ショルダーストラップ付き、三脚座組込み
レンズ構成 | 16郡24枚 |
---|---|
最短撮影距離 | 260㎝ |
最大倍率 | 1:5 |
フィルターサイズ | 105mm |
対応マウント | シグマ、ニコン、キャノン |
SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Sportsのフード
まずSIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Sportsのレンズフードは金属製です。
そのため、質感良く、手に馴染みます。
金属製のフードはツマミ式ロックで確実な固定が出来ます。
ネジのように回しこむ事により、レンズの溝にしっかりとフードが嚙み込み固定されます。
野外では、枝などにレンズフードをぶつける事も多いので、金属製だと安心出来ます。
野外でレンズフードを無くした方っていませんか?
このロック機構なら「フードが外れて知らぬ間に無くした。」なんて事がありません。
また、レンズフードのフチには、ラバーゴムが貼ってあります。
このラバーゴムのおかげで、レンズを立てた状態で置く事が出来ます。
これは大変便利です。
普通に横で置くと、とっさの時にレンズを持ち直す必要があり、ワンテンポ遅れてしまうのです。
しかし、レンズを立てて置くと、ボディが丁度いい高さにあるため、直ぐにレンズを被写体に向ける事が出来ます。
このレンズを購入するまで、この縦置きを知りませんでしたが、大変使いやすい置き方です。
ただ、枝が多く、レンズ面に傷が付くような場所や、山の斜面ではレンズに傷が付いてしまうので、横置きにしています。
レンズ
FLD2枚SLD3枚を採用する事で、倍率色収差を徹底補正されています。
これにより、圧倒的な光学性能となっています。
また、最前面、最終面レンズには「撥水・防泥コーティング」が採用されています。
撮影時に「光学性能、すげー!!」とは考えたことはありませんが、普通に良く写ります。
それよりも、おすすめしたいのは「撥水・防泥コーティング」です。
「撥水・防泥コーティング」があるので、私はSIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM sportsを買いました。
野外撮影で気になるのは雨と砂埃です。
雨の場合は拭けばいいんですが、砂埃って落すの大変なんです。
ブロワーで吹いてもレンズ面に残っている事って多いですよね。
特に私は、藪の中をレンズを剥き出しで駆け回る事もしますので、「撥水・防泥コーティング」がしてあるって大変ありがたいんです。
この「撥水・防泥コーティング」のおかげで水や泥だけでなく、砂埃もブロワーで落しやすくなっていますよ。
鏡筒設計
強度のある金属製を採用。
悪天候や過酷な環境下でも実力を発揮する、防塵、防滴、防汚に優れた構造になっています。
野外で、塵や雨に強い構造は心強いです。
また、木や壁にぶつける事もあるため、金属製の堅牢性は安心して使う事が出来、どんな岩場や山の中でも遠慮せずに持ち出せます。
しかし、ネックは重さの2,860g。約3㎏は野外で使うには体力が必要です。
三脚座
安定性に優れた三脚座を採用。
90°毎のクリックで縦横の撮影位置の変更が容易です。
この90°毎のクリックにより、ちゃんとした位置で三脚座を固定出来るため大変使いやすいです。
安い三脚座だと、微妙にずれてしまったりして、撮影時に気になっていましたが、この三脚座ではそんな心配はありません。
野生動物撮影
野生動物は近づけない被写体が多く、撮影する際には600mm程の焦点距離が使いやすいです。
とくに野鳥の撮影をしたい方は望遠ズームレンズで焦点距離が600mmまであるレンズを購入しておくと、様々な場面で重宝します。
初めは70-300のレンズで腕を磨く方法もありますが、300mmでは日本の野生動物を撮影するには短いです。
都会のヒトになれた、鳥などは撮影できるが、普通に野山で70-300mmは使えないと思っていいです。