野生動物の調査用に使用していたトレイルカメラが故障しました。
使用期間は長くはありませんでしたが、いくら電源を入れなおしても復帰しません。
症状からして、バッファー不足からの故障かな。
動画の撮影時間と写真の撮影枚数を多くして運用していたのが、原因と思われます。
ただのバッファー不足なら、電池を入れなおせば復帰できるはずですが、それでも復活しません。
故障した機材は何の役にも立ちませんので、トレイルカメラの勉強を兼ねて分解してみました。
トレイルカメラを分解する
トレイルカメラを分解します。
分解する機種はAmazonで購入した7,000円ほどの中国製の機種です。
トレイルカメラとしての性能は問題ありませんでしたが、故障してしまったので、やっぱり安価品は当たりハズレがあると思います。
それではスイッチを入れてみます。
故障してから長期間放置しておきましたが、直っているでしょうか。
スイッチON!!
ピロピロリん!
はい、ダメです。
故障の症状としては、起動画面から先へ進まなくなります。
ずっと、カリブー?シカ?の映像のままです。
メニューボタンも効きません。
てか、ボタンとスイッチも効かなくなります。
映像を止めるには電池を外すしかありません。
これはもうどうにも出来ませんので、分解を決行。
精密ドライバーがあればほとんど分解できると読んでいます。
特殊工具は使用してないでしょう。
まずはネジを外していきます。
見える位置に6個のネジが確認できたので、全て外します。
ネジを外して、隙間に指を突っ込み、部品を外します。
ネジの外し忘れや、見えない位置の配線を気にしながら慎重に作業を進めます。
ケースと基板部が外せました。
ネジは6個だけでしたが、やはり見えない位置に配線がありましたね。
見えない位置の配線で一番細いのが、この赤黒の配線。
基板から出ており、先にはエレクトレットコンデンサーマイクのような物が確認できます。
動画撮影時に音声を録音するマイクだと思われます。
マイクの隙間を狙ってマイナスドライバーでほじほじ。
固定用の接着剤がつけてあり、マイクを外せません。
あ!
配線を切ってしまいました。
細い配線なので注意していましたが、ミスりました。
ただ、切ってしまってもマイクと配線を半田で止めればOKなので深刻に考える必要はありません。
まーこのトレイルカメラは他の故障が問題なので・・・
ほじほじを続けること5分。
マイクが外れてきましたよ。
マイクが外れた!
マイクには+と-の印字がされており、+に赤線-に黒線を繋げば正常に使えます。
マイクは周囲をゴムで保護してありました。
トレイルカメラから入り込む雑音をマイクが拾いにくくする工夫ですね。なるほどねー。
マイクの穴は外側からは点にしか見えません。
動画時の音を確認しましたが、記録としては十分な音量を確保していました。
上部に見える少し太めの赤黒の線が、基板に電源を送る線です。
電池ケースから繋がっています。
ケースが開閉できるような作りのトレイルカメラなので、配線は可動部の内側を通してあります。
トレイルカメラ内部で目を引くのが、レンズユニットとLEDユニット。
それぞれ確認してみます。
レンズユニットは良く見ると、薄いガラスが2枚はめ込まれています。
表面のガラスは赤いので、赤外線フィルターですね。
2枚目のガラスはピント調整用かな?
日中の撮影などの通常時は赤外線フィルターを通すことで、赤外線を除いた可視光で撮影するのでしょう。
トレイルカメラの特徴である夜間の撮影には、トレイルカメラの上部についている赤外線LEDを使用して撮影するので、赤外線フィルターを外す必要があります。
赤外線の光で撮影するのに、赤外線フィルターで赤外線を除いたら意味ありませんよね。
と言うことは。
このガラスは可動するはず!!
まずはレンズユニットに繋がる線を外します。
レンズユニットに配線があるなんて怪しい。
ガラスだけなら、配線なんていらないですよね。
ついでに邪魔なので、LEDユニットも外します。
ネジが見えるので、ネジを外すだけ。
LEDユニットのネジを外したら、上に持ち上げます。
LEDユニットは配線ではなく、基板に直に刺さっていました。
LEDユニットが外せました。
中心部に見えるのが、CDSセンサーです。
光の強さに応じて電気抵抗が低下する抵抗器です。私たちの周りの機器にも明るさセンサーとして良く使用されています。
CDSセンサーの価格は種類によってばらつきがあるのですが、1個30~200円ほど。
CDSセンサーの下に確認できる透明な2個のLEDは白色LEDと赤色LEDかな。
光量が少し足りない場合に、使用する明かりだと思われます。トレイルカメラの動作確認用ですかね。
他に確認できる黒いLEDが赤外線LEDです。
赤外線は可視光ではないので、発光中でも肉眼で確認できません。
赤外線なら夜間でも光を出さずにできるので、野生動物に気づかれずに撮影が可能になります。
続いて、レンズユニットを取り外します。
ネジは確認出来ないので、引っ張り上げます。
あ!
外れた。
メインのレンズはさらに基板に固定されており、フィルターのユニットが外せました。
レンズ小さいですね。
フィルター部に戻ります。
フィルター部には配線が繋がっているので、この配線に電気が流れると、フィルターが可動する仕組みだと思われます。
部品的には小さいので、駆動の仕組みは、モーターではなくソレノイド方式かな。
レンズユニットをいじいじ。
お!
カメラレンズの絞りの用にフィルターが横にスライドします。
やはり、赤外線フィルターのみスライドする仕組みです。
これが、フィルターが半分半分の状態。
この切り替えで赤外線と可視光の切り替えをしています。
次は基板の電池面側の確認。
メモリーカード挿入部や電源スイッチが確認出来ます。
こちらには細い赤黒配線が繋がっています。
こちらはスピーカーですね。
ボタンの音などをこのスピーカーから鳴らしていたようです。
基板を良く確認すると何やら汚れが!
腐食かな?
トレイルカメラは防塵防滴仕様ではありますが、完璧に防げるわけではありません。
基板自体にも、腐食防止加工はされていますが、機械なのでこんな風になることもありますよね。
故障の原因ではないと思われますが、念のためふきふき。
汚れは簡単にとれました。
基板を浸食していた様子もありません。
OKですね。
てか、これぐらいしか出来ません。
さて、スイッチON!
お!お!?お!!
なんだか、進んだ!
直ったのか?
これで直ればラッキーですが、すでに分解の気持ち。
分解を続けます。
これがレンズユニット。
表面には指で回すようの加工がされているので、このレンズを回してピント位置を決めてるのでは?
回そうとしても動きません。
固定剤でしっかりと固定してありました。
ピントがずれる恐れがあるからの固定でしょう。
固定剤をカッターで地道に外します。
レンズ部はプラスチックなので、欠かないように注意をして作業しました。
固定剤を全て外した状態で回してみると・・・
外れた!!!
ネジが切ってあり、ピント位置の調整が出来るようになっていました。
レンズの内側にはセンサーが確認出来ます。
いわゆる撮像素子です。被写体の光を画像データに変換します。
この撮像素子の大きさをフルサイズやAPS-C、マイクロフォーサイズと呼びます。
一通り、分解をしたので構造が分かりました。
組みなおして使おうかな。
なんて、思ったら・・・
ガーン!!
元の映像に戻ってる。
この後、いくらいじってもこの映像のままでした。
やっぱり、ダメですね。故障は故障です。
もう、液晶も外してみます。
液晶の取り外しは簡単ですが、このフィルム状の線を切らないように注意です。
取付部にロックがあるので、ロックを解除しないと抜けません。
液晶取り外し完了。
ん~
この液晶があっても役立たないよね。
カメラにつけるわけにもいかないし。
最後にトレイルカメラの大切な焦電センサーです。
このトレイルカメラには2個の焦電センサーがついており、広い面積と正面をカバーするようになっています。
上についているs焦電センサーが正面用。
下が広角様です。
1個ではカバーできないので、分業ですね。
トレイルカメラのケースから光を当ててみます。
この透明の窓がレンズになっており、センサーが野生動物の動きを感知しやすいようになっています。
このレンズが感知方法によって選べるのが、焦電センサーです。
最後にまとめて撮影。
トレイルカメラは案外分解は簡単です。
しかし、ユニットになっているので、分解したところで、修理にはなりません。
部品を持ってないですからね。
値段を考慮すると、壊れた買い替える使い捨て的な作りです。
トレイルカメラに不具合が発生したら、悩まず新品を購入して下さい。
悩むだけ時間が勿体ない作りです。