最近のカメラは高感度特性が高く、ISO感度をガンガン上げて撮影する事が出来ますね。
ISO感度を上げると、シャッタースピードを早く出来たり、絞りを絞り込み、被写体深度を深くする事が出来ます。
小さな昆虫撮影や、動きの速い動物撮影には欠かす事が出来ません。
今のデジタルカメラのISO感度特性は頼もしい機能です。
しかし、ただISO感度だけで対応するのではなく、フラッシュを上手に活用すると昆虫や動物撮影は1歩先に進む事が出来ます。
今日はそんなフラッシュについてのお話。
昆虫撮影にリングフラッシュが気になる!
リングフラッシュって!?
昆虫や小さな動物撮影にはフラッシュ撮影をする事があります。
カメラボディにもフラッシュはついています。
しかし、光量が少ないです。
特に問題なのが、フラッシュの位置です。
このフラッシュの位置では、レンズがフラッシュの光を遮断してしまうのです。
そこで、外付けフラッシュを使用して、高い位置から光をレンズ先端まで回したり。
複数のフラッシュを組み合わせて、ライティングをして撮影をしています。
このザリガニ写真も複数のフラッシュを使用してライティングしています。
でも、このシステムって荷物なんですよね。
重く、大きいので、カメラに装着したままフィールドを散策するには邪魔になります。
そのため、普段は外してカメラバックにしまっています。
でも、生き物って急に遭遇する場合が多いですよね。
特に貴重なシーンなどは。
そんな時間との戦いの場で、複数のフラッシュをセットするのって大変なんですよ。
特に生き物は不審な音や振動で直ぐに逃げてしまう場合が多いので、見つけたら直ぐに撮影をする必要があります。
外部フラッシュをセットしている間に何度逃げられたことか・・・
そこで、前々からレンズの横から光を当てられる「リングフラッシュ」に興味がありました。
「リングストロボ」はレンズの真横から光を当てる事が出来るので、影を抑え、被写体を均一にライティングする事も出来ます。
つまり、ライティング時間が短縮出来るかも!
しかし、「リングフラッシュ」を調べてみると多くの機種が、広角レンズには装着出来ません。
普通に60mmマクロレンズなどで使用するなら、全く問題ありません。
しかし、私は広角マクロ撮影が好きなのです。
生き物の生息している環境を一緒に写しこむ広角マクロ撮影。
広角なため、市販の「リングフラッシュ」を装着しても光が入り込む心配がありました。
そこで思いついたのが、「リングフラッシュ」に似たフラッシュの自作です。
必要な機材は作っちゃおう!
広角マクロでも使用出来るフラッシュの自作を決めました。
広角マクロ用フラッシュの自作
レンズ付きフィルムカメラのフラッシュを改造
広角マクロ撮影用フラッシュの自作に使用するのは、レンズ付きフィルムカメラです。
レンズ付きフィルムカメラ内で使用されている基板を改造してフラッシュを作成します。
理由は値段が安く、光の量も少ないためです。
レンズ先端から光を当てるので、光量は少なくても問題ありません。
それよりも、光量が少ないため、発光部が小さく、システムの軽量化が考えられました。
今回、使用するレンズ付きフィルムカメラはフジフィルムの写るんです。
レンズ付きフィルムカメラで使用されている基板は同じ名ーカーであっても機種によって多少異なっています。
使用してる電子部品に違いはありますが、基本的な発光システムは同じです。
それでは分解を始めます。
まず、外装を外します。
テープ式でとまっているので、カッターで切れ目を入れると剥がしやすくなります。
外装を剥がすと、カメラの底にロック部を確認する事が出来ます。
ロック部に小さなマイナスドライバーを差し込みます。
マイナスドライバーでロック部をこじると、ロックを外す事が出来ます。
この部分にフラッシュ用の電池が入っています。
多くの機種では、単4の電池を1本使用しています。
稀に単3電池を使用している機種もあります。
基本的にはこの部分に電池が入っているので、先ずは底からバラし、電池を取り出します。
電池の右側もマイナスドライバーで開きます。
この部分にはフィルムが入っています。
レンズ付きフィルムカメラは最近人気のようですね。
レトロな写りが人気の秘密でしょうか?
さて、レンズ付きフィルムカメラで撮影も楽しみたいし、基板も欲しい!
そんな方も大丈夫です。
レンズ付きフィルムカメラの撮影可能枚数を撮影した後に、この部分を開くと撮影後のフィルムを取り出す事が出来ます。
通常、レンズ付きフィルムカメラは撮影後にカメラ店に持っていくと、フィルムだけ取り出して現像してくれます。
その際には本体は戻ってきません。
カメラ店では、本体はリサイクル用に回収してしまいます。
基板が欲しい方は自分でフィルムを取り出し、フィルムだけお店に現像を頼んでください。
電池とフィルムを取り出したら、側面のロックを外します。
こちらも、ロック部に小さなマイナスドライバーを入れると外す事が出来ます。
底と側面のロックを外すし、前面を持ち上げるようにするとレンズ付きフィルムカメラ本体を分解出来ます。
レンズの横に収まっているのが、フラッシュ用の基板です。
レンズ付きフィルムカメラの撮影機構は完全メカ式のため、基板が故障していても、フラッシュが光らないだけで、撮影は楽しむ事が出来ます。
あとは基板を本体から外すだけですが、ここで注意が必要です。
フラッシュは高圧な電気を使用して発光させています。
そのため、レンズ付きフィルムカメラの撮影や分解の際に、電池が入った状態で1度でもフラッシュのスイッチを入れると基板内に高圧の電気を貯めるのです。
そこで、貯めた電気を放電させるために、コンデンサ(電気を貯める部品)をショートさせます。
方法はマイナスドライバーなどの金属でフラッシュの横の半田部分をなでます。
この時に必ず、持ち手はプラスチックやゴムなどの絶縁をされている工具を使用して下さい。
(本当は電子部品の抵抗などで電気を抜く方法が安全です。)
電気が溜まっている状態をショートさせると火花と音が出ます。
電圧が200Vほどあるので、手でこの部分を触ってしまうと大変痛い思いをします。
電気を放電させたら、基板を本体から外します。
本体のレバーに基板がハマっているだけなので、レバーをずらして基板を外します。
この機種では、マイナスドライバーの先の黒いプラスチックがレバーになっています。
レバーを外せていれば、軽い力で基板を手で引き上げる事が出来ます。
基板が持ち上がらない場合は、他の場所にもレバーがあるので探して外します。
力ずくで外そうとすると、基板が割れてしまいます。
基板はこんな形をしています。
フラッシュ基板の裏はこんな感じ。
大きな黒い部品がコンデンサです。
200Vの高電圧が溜まる部分なので、触らないようにして下さい。
レンズ付きフィルムカメラのフラッシュ基板のいい点は、電気が溜まると赤色LEDが発光する事です。
裏側に赤色LEDがついています。
基板下部の銅は電池が入っていた部分です。
こんな感じで電池が収まっていました。
電池のため、プラスとマイナスがあり、方向を間違えるとフラッシュ基板は動作しません。
電池を装着した状態で基板上の銅接点が押されると、電源が入りフラッシュに電気が溜まります。
(マイナスドライバーの先にあるのが電源接点です。)
フラッシュ基板に電源が入った状態で発光スイッチが入るとフラッシュが発光します。
この機種では、指先の2本の銅接点が発光スイッチです。
電気が溜まった状態でこの部分を触るのも止めて下さい。
絶縁をされていないので、自分が痛い思いをします。
それでは、改造を始めます。
以前研究のため、作成した右側の改造基板をベースに改造をしていきます。
続く!