機械の修理・構造

動かないAC200Vモーターをオーバーホールするよ

動かない200Vモーターを分解

様々な場所で使用されているモーター。

見えない場所でも数多く使われています。

そんなモーターも故障はします。

モーターが動かないという状況に立ち会った方も少なくないはず。

今回は工業で多く使用されているAC200Vモーターの故障原因を探りました。

AC200V2.2kw4P モーターオーバーホール

動かない200Vモーターを分解

まずはラベルを確認。

!?

ラベルがない。

ラベルでワット数や使用されているベアリングを確認したりします。

この状態では簡単に確認をする方法がありません。

寸法を測って、図面から探す事は出来ます。

しかし、現場で急いでいる場合はその方法は難しいです。

そこで、今回のモーターはブレーカーに記載されている値から2.2kwモーターと判断しました。

故障場所には新品の2.2kwモーターを取り付け、無事に動作しましたよ。

AC200V2.2KWモーター オーバーホール開始

動かない200Vモーターを分解

無事に新品モーター交換が済んだので、故障したモーターの原因を探ります。

動かない200Vモーターを分解

まず、モーターの軸が回るか確認します。

今回のモーターは一般的なモーターです。

稀にギアで減速しているモーターもあります。

ギアモーターの場合は、減速比によって手では軸を回せない事があります。

このモーターはギアモーターはありませんので、手でクルクル軸が簡単に回るはずです。

でも、この故障モーターの軸は手でまったく回りませんでした。

このモーター軸が回らない事から、故障の原因がベアリングであると予想が出来ます。

ベアリングはモーター内部に組み込まれているので、モーターを分解します。

動かない200Vモーターを分解

分解の前に印をつけます。

様々なペンを使用してきましたが、使いやすいのが「消えないマーカー」です。

ペン自体が丈夫であり、インクの出も良く、インクの持ちもいいのでおすすめです。

動かない200Vモーターを分解

印は見えやすい場所につけます。

このタイプのモーターはこの部分の位置は重要ではありません。

しかし、機械を分解する時は印をつけるのを習慣にして下さい。

複雑な構造だった場合に印が役立ちます。

動かない200Vモーターを分解

軸とは反対側にはモーターを冷却するために、ファンがついています。

このファンの保護カバーを外します。

動かない200Vモーターを分解

ファンカバーを外すと樹脂製の羽が出て来ます。

この羽がモーター軸の動きに連動してモーターの発熱を冷却します。

羽は軸と同じ速度の高速回転をしますので、ファンカバーを凹ませないようにします。

カバーが凹んでしまうと羽に干渉して羽が破損してしまいます。

動かない200Vモーターを分解

正常なモーターは羽を指で回す事が出来ます。

しかし、当然ですが全く動きません。

動かない200Vモーターを分解

ファン側も分解するためにケースに印をつけます。

ちなみに、モーターのベアリング破損で多いのが、ファン側のベアリングです。

そのため、モーター軸が手で回転できない場合はこのファン側のケースを外す必要があります。

動かない200Vモーターを分解

ケースに印をつけたら樹脂製の羽を外します。

このモーターの羽を良く見ると樹脂が溶けています。

これにより、ファン側のベアリングが油切れで破損している事が考えられます。

ベアリングが油切れになると動きが渋くなり、抵抗が生じるので熱が発生します。

この羽もその熱により、溶けたのだと思います。

動かない200Vモーターを分解

ケースを外すには羽を外す必要があるので、溶けている部分を剥がします。

羽はスナップリングという部品で固定されています。

動かない200Vモーターを分解

スナップリングを外すには専用の工具を使用します。

「スナップリング抜き」です。

動かない200Vモーターを分解

「スナップリング抜き」は先端が尖っており、スナップリングの穴に入れて外します。

この先端のサイズや形、取り外す際の動き(開き・閉じ)などの種類があるので、スナップリングの大きさや位置によって使い分ける必要があります。

動かない200Vモーターを分解

スナップリングの穴に「スナップリング抜き」の先端を差込みます。

このスナップリングは開くと外せるので開くタイプの「スナップリング抜き」を使用しています。

動かない200Vモーターを分解

スナップリングはこんな形をしている部品です。

この部品が丈夫ではなので、外すときの力の加減を気をつけて下さい。

力を入れて外すと歪んでしまい、再利用が出来なくなります。

動かない200Vモーターを分解

スナップリングが外せると羽は引き抜く事が出来ます。

動かない200Vモーターを分解

羽は周囲の空気を利用してモーターを冷却するので、汚れが溜まります。

外した羽を良く見ると、この羽はモーター軸との固定される部分が破損しています。

この場合は軸と羽の固定を少々加工する必要があります。

動かない200Vモーターを分解

機械の油汚れを落としたい場合はパーツクリーナーを使います。

ホームセンターで売っています。

動かない200Vモーターを分解

値段が高い物ほど、汚れが落ちやすく、使用しやすく出来ています。

動かない200Vモーターを分解

羽を外したら、ようやくケースが外せます。

通しのボルトで固定されているので、一方を固定しながらナットを緩めると外せます。

動かない200Vモーターを分解

ボルトを外したら、ケースの隙間にマイナスドライバーを入れて隙間を大きくします。

動かない200Vモーターを分解

ボルトが全て外れていれば、この部分は簡単に外せます。

動かない200Vモーターを分解

ケースから回転子も抜けました。

この回転子が回ることでモーターは動作しています。

動かない200Vモーターを分解

回転子が回転するのを支えているのが、このケースに打ち込まれているベアイングです。

回転子を支えるように軸側とファン側に使用されています。

それぞれ1個ずつ使用されており、モーター種類によって使用されているベアリングの種類が違うので注意が必要です。

動かない200Vモーターを分解

ケースについたままではベアリングの交換ができないので、ケースからベアリングを外します。

しっかりとはまっているので、油を使用して下さい。

動かない200Vモーターを分解

このサイズは小さいのでケースを叩いて外します。

叩くとケースが潰れたり、割れたりと破損の原因になるので気をつけながら叩きます。

同じ箇所を叩かずにケースを回転して叩く箇所を均等にします。

動かない200Vモーターを分解

均等に叩くとベアリングがケースから外せます。

動かない200Vモーターを分解

ベアリングを手で回します。

よく回転していますね。

油は切れておらず、問題ありません。

やはり、問題はファン側のベアリングです。

動かない200Vモーターを分解

ファン側のベアリングは手で回らなかったので交換が必要です。

今回は3本爪のプーリー抜きを使います。

動かない200Vモーターを分解

プーリー抜きでボルト部分を工具で回してベアリングを外します。

多くのプーリー抜きは2本爪タイプです。

この3本爪のプーリー抜きは2本爪タイプよりも力が伝わりベアリングが抜きやすいです。

動かない200Vモーターを分解

外したベアリングです。

やはりファン側のベアリングが内部で破損していました。

このモーターは使用されている2個のベアリングのサイズが同じでした。

この2個のベアリングサイズが違うモーターも多いので外したらベアリングのサイズをしっかりと確認して下さい。

外した側も間違えないようにする必要があります。

動かない200Vモーターを分解

モーターラベルがないので、外したベアリングでサイズを確認します。

6206Zです。

動かない200Vモーターを分解

破損したベアリングも現物でサイズ確認をします。

同じ6206Zです。

今回のモーターは6206を2個準備して破損した羽を加工すれば修理完了です。

終わりに

動かない200Vモーターを分解

最期に固定子を確認します。

ベアリングの異物や油などなく、綺麗です。

見た目では問題ありません。

詳細に確認するには絶縁テスターを使います。