ディスクサンダーが動かなくなり、困っているあなたへ
「ディスクサンダーが動かない。ディスクサンダーから異音がする。ディスクサンダーの修理がしたい。ディスクサンダーのベアリングはどう交換するの?」
こんな疑問に答えます。
- ディスクサンダーの分解修理手順
この記事を書いている私は、仕事で数々のディスクサンダーを使っています。工具は仕事で使用していると故障はつきものです。自分で使う工具は自分で直したい。今まで多くのディスクサンダーのベアリング交換や、配線交換、グリスの交換をしてきました。そんな経験からこの記事を書いています。
ディスクサンダーの分解手順
分解するのは、聞いた事がないメーカーの物。
本体の質感からしても安いディスクサンダーです。
ホームセンターで入手出来るサンダーはもう少し質がいいです。
(マキタ、リョービ、ヒタチが一般的なメーカーです。)
刃のサイズは100mm、ディスクサンダーの一般的な普及型サイズ。
ディスクサンダーを分解
ディスクサンダーは刃を替える事で、様々な使い方が出来ます。
その際に刃が回転しないようにロックをして、刃を取り外す必要があります。
このサンダー、時たまロックボタンが上手く押し込めません。
今回の分解でその原因も探ります。
砥石を外す
最初に刃を外します。
刃を外す際には、専用の工具を使用して刃を止めているナットを外します。
この工具をなくしてしまった方もいると思いますが、この工具はホームセンターで互換性の物が売っています。
刃を外す際にはロックボタンを押して、刃をロックします。
刃をロックしない状態で刃を外そうとしても、クルクルと空回りしてしまい、刃を止めているナットを外す事が出来ません。
刃を外すと、このようなシャフトが出て来ます。
このシャフトにディスクを取り付けて回転させているのが、ディスクサンダーです。
今回の分解では、シャフトを回転させているギアボックス内の確認が必要なため、ギアボックスに取り付けているカバーを外します。
砥石カバーを外すと、ギアボックス上にネジが見えるようになります。
今までの経験から、このネジの位置や本数はメーカーや種類を問わず基本的には同じです。そのため、ディスクサンダーの不具合の際には、まず、砥石カバーを外した方が早いです。
サンダー本体も分解するために、サンダーの横に付いているプラスチックを外します。
このプラスチックは、マイナスドライバーでネジのように緩めれば外す事が出来ます。
プラスチックを外すと中からこのような部品が出て来ます。
これがカーボンブラシです。
このカーボンがディスクサンダーのモーターへ電気を流しています。
この黒い部分が減ってしまうとモーターへ上手く電気を流す事が出来ず、電源を入れても回らない原因になります。
左右で2個付いていますので、分解の際には外します。
次に、ギアボックス内を確認するために、四箇所のネジを外します。
このネジは機種によって長さが違う場合があるので、取り外す際には確認をして下さい。
ネジが外れたら、マイナスドライバーを突っ込んで開きます。
この時に、強くマイナスドライバーを入れると、ケースが割れてしまうため、強く入れないように気をつけましょう。
全てのネジが外れていれば、この部分は、ハマっているだけなので、力は必要ありません。
シャフトを外すと、内部を確認する事が出来ます。
中にはグリスが詰まっています。
このグリスで高速回転するギアが焼きつかないようになっています。
外したシャフト側はギアになっています。
このギアを手で回して、ゴリゴリした感触がある場合はこの内側のベアリングが痛んでいる可能性があります。
今回は問題ないため、この部分は分解しませんでした。
ギアの面には、2箇所の穴が確認出来ます。
ロックボタンを押した際に、この穴にピンが引っかかり、ギアをロックする構造になっていました。
穴は破損した用には見えないため、問題はここではありません。
問題はロックピン側と判断して、ギアボックス内のグリスを取り出します。
このグリスは新しい物を使用する際には、古いグリスを取り除き、新しいグリスを詰め替えます。
種類が違うグリスを混ぜるのはよくありません。
ちょう度が低下して、機械の安定性が落ちます。
新しいグリスが無い場合は取り出したグリスを再利用します。
グリスはホームセンターに売っています。
グリスには種類がいくつかありますが、どれを選んでも問題ありません。
ギアが焼きつかないようにグリスを入れるので、グリスを入れれば、OKです。
グリスを取り出すと、ピンが見えてきました。
ピンには切れ込みが入れてあり、Eガタトメワのような物で抜けないようにしてありました。
Eガタトメワは再利用するため、上手に外します。
方法は少し見える、ピンとEガタトメワの隙間に精密ドライバーのマイナスを突っ込んで外します。
Eガタトメワは、外すとこんな感じです。
ピンにはプラスチックの押すボタンが取り付けてられていました。
Eガタトメワによってバネが固定されており、ピンとバネには問題ありません。
もう一度、組みなおしてピンを押して見ます。
すると、ピンが引っかかる角度がある事に気づきました。
ピンを外して、穴を確認します。
すると一部にバリが出来てるのがわかります。
このバリがピンに引っかかるため、ピンを押し込む事が出来ないようです。
そこでバリをとるため、棒やすりで削ります。
この部分はグリスが入っているだけなので、少し広めに削りました。
大きく削ってしまうと、穴が大きくなり、回転で熱を持ったグリスが出てくる可能性があるので注意が必要です。
少し、ピンと穴には隙間が出来たので、押し込みは大分スムーズに出来るようになりました。
これで、私の問題は解決したのですが、さらに、分解を進めます。
ボディ側を分解して、ギアボックス内にあるベアリングを確認します。
ネジを外して、ボディとギアボックスを取り外します。
この部分も機種によっての違いはありません。
ネジを4本外せたら、マイナスドライバーでギアボックスとボディを外します。
外れるとこんな感じです。
このシャフトがモーターシャフトになります。
先にはマシーンキーが付いています。
ボディと外す際に外れてしまいましたが、モーターからの力をギアに伝えるために、ギアボックスにはベベルギアが入っています。
ベベルギアは、こんな感じでモーター軸に付きます。
このディスクサンダーで、ベベルギアを固定していたのは、マシーンキーだけでした。
このギアはギアボックス内で、メインギアに噛み込むため、固定が無くても問題ありませんが、今まで分解したサンダーには、この部分をEガタトメワで固定してる機種が殆んどでした。
値段の差は内部を見ると良く分かります。
マシーンキーは大変小さいため、なくさないように注意して下さい。
特に写真のような半月キーは注意が必要です。
このキーは手に入れるのが大変難しい、キーのタイプになります。
この半月キーを使用している軸には、キー溝が切ってあります。
この部分にキーがはまり込む事で、キーが軸に固定されます。
以前、分解したディスクサンダーはこの半月キーがダメになっていました。
そのため、キーを作成するために寸法を詳細に測り、
棒のマシーンキーを削って、半月キーを作成しました。
さて、ディスクサンダーで、よくダメになるのはベアリングです。
ボディの内側にはモーターが入っており、このモーターを回転させるために、2個のベアリングが入っています。
多くの機種はボディ部に2個のベアリングが入っていますが、この機種は1個がギアボックスに固定されていました。
指でベアリングを回した際に、少し違和感を感じたため、交換します。
ネジを2本外すとベアリングが外せる状態になりました。
ベアリングの種類は6000。
メタルシールタイプです。
ギアボックスに付いた状態だと、ベアリングは少し外しにくいです。
ケースにベアリングが付いている状態なので、ギアケース内部から、ベアリングをマイナスドライバーで打ち出します。
この方法はベアリングにダメージを与えますので、ベアリングを交換する方だけ、チャレンジして下さい。
外したベアリングを確認します。
指で回すと少し引っかかりを感じました。
たまたま、何かの工具から取り外したベアリングがあったので使用します。
中古のベアリングですが、動きには問題ありません。
元々はメタルタイプのベアリングですが、使用頻度は低いので、シールタイプのベアリングを気にせず使用します。
反対側のベアリングも確認します。
手で回すとよく回ります。
しかし!回りすぎです。
ベアリングには、グリスが入っているため、多少の抵抗があるのですが、このベアリングには抵抗が全くありません。
ベアリング内部のグリスが切れているのかもしれません。
グリス切れのベアリングは直ぐに焼きつき、ダメになってしまうため、こちらのベアリングも交換します。
こちらのベアリングはベアリングを取り外す専用の工具を使用します。
ベアリングプーラーと呼びます。
ベアリングを挟み、軸を押す事でベアリングを外します。
こちらも、先ほどと同様に中古のベアリングを使用します。
皆さんは新品のベアリングを使用して下さいね。
ベアリングも交換したので、分解した手順と反対に組み直します。
ギアボックス内にグリスを入れるのを忘れないで下さい。
最後にギアボックスのフタを取り付けます。
その際には軸を手で回しながら、ギアが噛み合うように組んで下さい。
内部に問題がある場合は、この軸が手で回せなくなります。
最後に刃を取り付けて完成です。
ロックボタンは問題なく押し込めるようになりました。
修理は無事に終了です。
使用した工具はこんな感じです。これに万力、ベアリングプーラーがあれば、ディスクグラインダーの修理は簡単に出来ます。
分解したディスクサンダーはこんな状態まで分解しました。
配線やスイッチの問題だと、さらにボディ内部まで分解する必要があります。
これで使用出来るディスクサンダーが4個になりました。
今回修理した物はボディの質感がイマイチのため、あまり使用しないかも。
今回の分解で気になったのは、電源配線の硬さです。
日立やマキタのディスサンダーの電源配線は軟らかいため、ボディに巻いて保管していても直ぐに配線は伸ばせます。
しかし、今回分解したディスクサンダーは配線がすごく硬い!そのため、すごく使いにくいです。
こうした配線や内部部品でコストを下げる事で安いディスクサンダーが出来るわけですね。
終わりに
いかがだったでしょうか。
内部を分解すると、安く作られている所が見えたりします。
仕事では乱暴に扱うので、多少高くても良い物を購入して長く使うのがいいですね。
私が使っているサンダーを載せておきますので、覗いて見て下さい。
パワーや強度も問題なく、質感いいため、仕事でバリバリ使っているサンダーです。
低速で高出力なので、削る力もあり、扱いやすいですよ。