その他機材

接写リングで近接撮影

みなさん、「寄れないレンズ」を眠らせていませんか?

カメラの知識が付くと気になるのが、「単焦点レンズ」。

レンズキットについてくる「ズームレンズ」とは違って、「単焦点レンズ」はズームが出来ないので不便です。「単焦点レンズ」だと、撮影したい範囲にするには足で移動するしかありません。今までのように、レンズを回せば、範囲がかわるレンズとは違います。

でもね。

「単焦点レンズ」は趣味で撮影を楽しむには、撮影時間をじっくりと楽しめる良いレンズです。レンズキット購入後の、初めての単体レンズに「単焦点レンズ」を購入した人もいるのではありませんか?「単焦点レンズ」は、「開放F値の明るさ・レンズ枚数が少ないのでコンパクト・価格もお手頃」とズームレンズよりも良い面がいっぱいあります。

しかし、そんな単焦点レンズの悩みとして、「寄れない」があります。これはレンズの種類や焦点距離によって異なりますが、50mm~85mmの「単焦点レンズ」を所有している方が抱える悩みです。だって、50mm・85mmの単焦点って「寄れません」から。

買う時って、あんまり「最短撮影距離」って気にしないですよね。気にしないってよりも、わからないが近いかもしれません。特に初めてのレンズ購入だと気になるのは、「価格・描写力・評判」といったところ。

ズームレンズから、単体レンズの購入を考えるって事は、ある程度、写真撮影が好きになった人です。好きでもなければ、レンズなんて買いませんから。

そこでネットで「2本目のレンズ カメラ」と調べ、出てきたレンズを購入した方が多いはず。

「2本目のレンズ カメラ」の検索でどんなレンズが出てきましたか?

35mm?50mm?85mm?

各カメラ・レンズメーカーの出す、50mmは価格が安く・解放F値が明るいレンズもある王道の2本目レンズです。(APS-Cセンサーなら35mm)

でも、この50mmって、安くてボケて良いレンズなんだけど、思っているより寄れません。実際に使うと分かりますが、画角も狭く、テーブルフォトや物撮りなど、気軽に使うには難しい焦点距離のレンズ。だから、「50mm買ったけど、使わずにそのまま」って人多いんですよね。

でも、それって勿体ない!「接写リング」を使ってみませんか?

「接写リング」は最短撮影距離を短く出来るので、近接撮影がしやすくなります。

今回は、寄れない「単焦点レンズ」を「寄れるレンズ」にする「接写リング」の紹介です。

接写リングとは

接写リング

「接写リング」は、カメラボディとレンズの間に挟み込んで使う機材です。簡単に言うと、レンズが入っていない筒です。

よく似た機材に「テレコンバーター」がありますが、「テレコンバーター」と違い「接写リング」は焦点距離が変わりません。

接点部には金属が使われていて、レンズとカメラボディの電気制御も伝わるのでAFも動作します。

接写リングの仕組み

マクロレンズ撮影

「接写」と言えば、「マクロレンズ」。「マクロレンズ」は、等倍撮影が可能な特殊なレンズ。個人的には、初めて単体レンズを買うなら「マクロレンズ」を進めます。この「マクロレンズレンズ」は、他のレンズよりも最短撮影距離が短く設計されています。

ん~少し難しい?

簡単に言うと、「マクロレンズ」は「ちょー寄れるレンズ」です。センサーから近い位置でもピントが合うように、レンズ前玉とセンサー距離を離す設計がされているので、近接撮影が可能です。

接写リングの仕組み

つまり、普通のレンズと「マクロレンズ」の違いは、レンズ前玉とセンサー距離です。この距離を離せれば普通のレンズでも、「接写」が出来ます。

接写リングの使い方

接写リングの仕組み
レンズ前玉とセンサー距離を離すには、間に距離を作る必要があります。

「接写リング」はカメラレンズとカメラボディの間に挟んで距離を作る道具なのです。

このリングを使う事で「寄れないレンズ」が「寄れるレンズ」として使えます。

厚みを選ぶ

複数の接写リング
「接写リング」は接写する距離に応じてサイズを選ぶ必要があります。

私が使用しているケンコーではサイズが12mm、20mm、36mmが準備されています。

レンズ面ギリギリの「接写」をしたい場合は厚みのある接写リング36mmを使います。

少しだけ「接写」がしたければ、12mmを選びます。

ケンコー接写リング

この接写リングは組み合わせて使用する事が出来るので7通りの倍率で使えます。

接写リングの利点

接写リングの電子接点
「接写リング」は電子接点を備えた筒です。

そのため、AFも動作します。

接写リング

「接写リング」内部にレンズは組み込まれていません。

そのため「接写リング」使用しても焦点距離もレンズの明るさも変わりません。

接写リングとテレコン

「接写リング」に似た道具に「テレコン」があります。

テレコンバーターとD750

テレコン」は「接写」用に使う事も出来ます。

しかし、「テレコン」では焦点距離が変化してしまいます。

1.4倍の「テレコン」を単焦点50mmに使うと、70mmレンズになってしまうのです。

また、レンズが暗くなってしまうので、明るいF1.8が一段暗くなってしまいます。

接写リングの悪点

フォクトレンダーノクトンで撮影した画像
「接写リング」も万能ではありません。

「接写リング」は、物理的にレンズとセンサー間の距離を伸ばすので∞にピントが合わなくなります。

12mm接写リングのレビュー

Voigtlander NOKTON 58mm F1.4 SL II N+12mm接写リングの組み合わせです。

この組み合わせが、一番短い組み合わせです。

当然、∞にはピントは合いません。

写真は一番遠いピント位置ですが、トマトとの距離が近いのが分かると思います。

つまり、「接写リング」とレンズの組み合わせによっては、∞どころか、近距離にしかピントが合わなくなるのです。

(接写リングを外せば、通常の状態で使用出来ます。)

接写リングの取り付け方法

そのため、普段は「接写リング」を外していて、「接写」の時に取り付ける一手間が必要です。

また、値段が以外と高いです。

複数のレンズを持っていると使い道が広いので「接写リング」はおすすめです。

しかし、長い目で見ると素直に、マクロレンズを持っていてもいいと思います。

接写リングの作例

接写リング

私は「接写リング」をVoigtlander NOKTON 58mm F1.4 SL II Nで多様しています。

Voigtlander NOKTON 58mm F1.4 SL II Nの描写は素晴らしく、気に入っています。

材質も鉄なので質感が良く、いつも触っていたいレンズです。

しかし、Voigtlander NOKTON 58mm F1.4 SL II Nの最短撮影距離は0.45M。

「寄れない」ません。

野外では、花や虫、キノコ、葉まど撮影したいモノで溢れています。

そんな時に最短撮影距離が0.45MのVoigtlander NOKTON 58mm F1.4 SL II Nだと撮影を諦める事が多かったです。

でも、撮影したい!

諦めたくない!

そこで、Voigtlander NOKTON 58mm F1.4 SL II Nで「接写」がしたい時に「接写リング」を使います。

接写リングで撮影したシジミチョウ

Voigtlander NOKTON 58mm F1.4 SL II Nと「接写リング」の組み合わせでシジミチョウの撮影。

シジミチョウは小さい蝶です。

通常では撮影を諦めます。

接写リングと単焦点レンズ

しかし、「接写リング」を使うとVoigtlander NOKTON 58mm F1.4 SL II Nでも撮影が可能になります。

「接写リング」の厚みを選ぶと近接能力にも差が出ます。

接写リング12mm

「接写リング」の厚みを12mmで撮影。

接写リングで蝶の撮影

サイズは小さいですが、ちゃんと蝶を撮影出来ています。

しかし、もう少しアップで撮りたいですね。

そこで「接写リング」の厚みを変えます。

接写リングで蝶の撮影

厚みを20mmに変更して撮影。

12mmと20mmでは蝶の大きさに違いがあるのがわかると思います。

接写リングの作例

通常ならマクロレンズで撮影をしますが、「接写リング」があれば撮影可能。

キキョウの質感や、ボケ、背景の色味はVoigtlander NOKTON 58mm F1.4 SL II Nこその描写です。

接写リングでゴーヤの撮影

複雑なイボの描写もマクロレンズに劣らずにとらえます。

軟らかい光の色は開放F値1.4のレンズならでは。

黄色いキノコ

野外で見かける事の多い、小さなキノコも撮影出来ちゃいます。

接写リングとマクロレンズ

「接写リング」はマクロレンズにも使用できます。

マクロレンズは等倍撮影が可能ですが、等倍撮影以上の倍率が欲しい場面で「接写リング」と組み合わせて対応します。

マクロレンズと接写リング撮影

マクロレンズ+「接写リング」の組み合わせ撮影です。

アブラゼミの抜け殻を撮影しました。

大きく写せているのがわかりますね。

まとめ

接写リングの外観

お気に入りのレンズで「接写」が可能になる「接写リング」

マクロレンズよりも使い勝手は悪いですが、お気に入りのレンズで「接写」が可能になるのが魅力。

お気に入りレンズの描写をそのままに、近接撮影を楽しみませんか